千葉が連覇、2―0で鹿島破る ナビスコカップ | FORZA!JUVE

千葉が連覇、2―0で鹿島破る ナビスコカップ

サッカーJリーグのナビスコカップ決勝は3日、東京・国立競技場に4万4704人の観客を集めて行われ、千葉が2―0で鹿島を降し2年連続2回目の優勝、賞金1億円を獲得した。

鹿島は02年以来4年ぶり通算4回目の優勝を逃した。前半は無得点のまま折り返したが、千葉は後半35分、水野晃樹が先制ゴールを挙げ、2分後にも追加点を奪い、逃げ切った。決勝が90分間で決着が付いたのは03年以来。最優秀選手(MVP)には水野が選ばれた。


 ○千葉が2―0で鹿島●


 千葉はサイドを使った攻めで主導権を握ったが、1対1を外すなどシュートの精度を欠いた。一進一退の攻防が続いた後半、35分に山岸、坂本の壁パスから右サイドに素早く展開。水野がDFを抜き切らないタイミングでゴール左隅に決め、先制した。37分にも水野の右CKから阿部が頭で押し込んだ。前半、受け身に回った鹿島は後半、ロングボールを2トップに集め揺さぶったが、終盤足が止まり、つけ込まれた。


 ▽鹿島・アウトゥオリ監督 攻勢だった後半立ち上がりのチャンスを決めていれば、結果は変わっていた。千葉GKの好守をたたえたい。


 ◇仲間への感謝忘れず…期待の21歳
 均衡を破ったのは、北京五輪での活躍が期待される21歳の新鋭だった。
 後半35分、千葉の水野は速攻から右サイドでフリーになり、右足の押さえを利かせて低い弾道のシュートをゴール左隅に決めた。
 「あれは1人のゴールじゃない。パスをくれた坂本さんもいたし、自分に付いていたマークを連れていってくれた選手もいる。DFが逆に動いてコースが空いたのでキーパーの反応が遅れた」。MVPは仲間への感謝を忘れなかった。
 右サイドの攻撃的MFは本来、坂本の定位置。だが、アマル・オシム監督は鹿島伝統の4バックを攻略するため、ドリブラーの水野を抜てきし、より攻撃的なスタイルをとった。「攻撃しないと自分が出る意味がない。監督に恩返しもしたかった」という水野は、DFとの1対1にもおくせず挑み、チームを活性化させて起用に応えた。
 前哨戦として注目された10月14日の鹿島戦はアウエーで4―0と完勝。だが、アマル・オシム監督は「あの時はセットプレーなどから4点取ったが、主導権は握れなかった」と分析。この1週間、鹿島対策を練ったという指揮官は「今日の方が4、5倍いい試合ができた」と胸を張った。


 今夏、日本代表にイビチャ・オシム監督を送り出し、コーチを務めていた子が父からバトンを受け継いだ。異例の監督交代でチームは揺れた。「アマルさんにタイトルをプレゼントしたい」(阿部)という選手の思いとは裏腹に、リーグ戦での成績は緩やかな下降線を描いていた。それだけに、この日の連覇は大きな意味を持つはずだ。【安間徹】
 ○…日本代表のイビチャ・オシム監督は、スタンドから千葉の連覇を見届けた。
 「ひょっとしたら、目に黄色のフィルターがかかって、黄色の選手の方が良く見えるかもしれない」と冗談を織り交ぜながら「千葉の選手がなぜ代表に選ばれているかを示した」とタイトルを守った教え子を祝福した。一方で「これに満足することなく、リーグ戦でいい成績を残すことにも挑戦してほしい。コンスタントに勝ち続けることが一番難しいのだから」とエールを送った。
 「私の体が大きいので選手がけがをする」と昨年は胴上げを断ったが、今年は長男のアマル・オシム監督が宙を舞った。「アマルの方が若いので胴上げされても落ちるリスクが少ない」と、うれしさの表現もオシム流だった。